100万本以上売れた極細ボールペン「サラサナノ」 ヒットの要因は?“ガリガリ感”を解消(1/3 ページ)

» 2024年03月18日 06時00分 公開
[熊谷ショウコITmedia]

 ゼブラ(東京都新宿区)が販売する極細ジェルボールペン「サラサナノ」がヒットしている。発売初年度に100万本売れればヒット商品といわれる筆記具市場で、発売から約10カ月で累計販売本数100万本を突破。24年3月18日には「サラサナノ 0.38」からビンテージカラー全5色の発売も開始した。

 開発の背景やヒットの要因を、同社プロダクト&マーケティング部の小野陽祐氏に聞いた。

21年11月に発売した極細ジェルボールペン「サラサナノ」ボール径0.3ミリ(提供:ゼブラ、以下同)

なぜ極細タイプのペンが人気に?

 同社は「ブレン」「シャーボ」「デルガード」など、多くのヒット商品を世に出してきたが、なぜ“極細”のボールペンに着目したのだろうか。小野氏によると、近年は手帳の小型化などもあり、限られたスペースでも文字が書きやすい極細ボールペンの人気が高まっているという。

 実際に同社主力のジェルボールペン「サラサクリップ」でも、極細に分類される0.3〜0.4ミリのボール径が売り上げの約3割を占めている。

「サラサクリップ」。累計販売本数10億本(22年3月時点ゼブラ出荷実績)を突破しているサラサシリーズの代表商品
サラサクリップ売上比率、22年度日経POS情報より(出典:ゼブラ、以下同)

 一方で、極細ペンならではの課題として挙がっていたのが、筆記時に“ガリガリ”した感覚がする「違和感」だった。手帳などに小さい文字を書こうと思った際、小さいペン先に筆圧が集中することで、紙にペン先がめり込んでしまうことがあるのだ。

 「0.5ミリのボール径などで書類に大きな文字を書くときにはよくても、0.3〜0.4ミリのボール径で手帳に小さい文字を書くときに違和感が出てしまう。また、『インクが安定して出にくい』といった声もあった」

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