NSAの元サイバーディレクターであるロブ・ジョイス氏は、議員たちに対して「連邦職員の大量解雇が、中国やその他の敵対国からの悪質なサイバー活動に対抗する米国の能力を損なうだろう」と指摘した。
この記事は会員限定です。会員登録すると全てご覧いただけます。
米国国家安全保障局(NSA)におけるサイバーセキュリティの元トップは、重要な下院委員会に対して、連邦政府による試用期間中の従業員の解雇が広がれば(注1)、中国や他の敵対国による脅威に対抗する米国の能力が著しく損なわれると警告した。
NSAの元サイバーセキュリティディレクターであるロブ・ジョイス氏は、2025年3月5日(現地時間、以下同)に開催された中国共産党に関する下院特別委員会で次のように証言した(注2)。
「米国政府による試用期間中の従業員の解雇は積極的な脅威であり、国家安全保障に壊滅的な影響を与えると深く懸念している」
ジョイス氏は「特定のポジションが正式に廃止されない場合であっても、職場環境に生じる不確実性により、重要な人材が連邦機関を離れて民間企業に移るだろう」と警告している。
ジョイス氏は、米国のレジリエンスを試し続ける敵対勢力と戦うためには、これらの職員の多くが持つユニークな才能が必要だと指摘した。
トランプ政権は連邦機関内の不正や無駄を特定し、政府支出を削減するための積極的な措置を講じている。これらの支出削減の多くは試用期間中の従業員の解雇を伴うものだ。
米国土安全保障省サイバーセキュリティ・インフラセキュリティ庁(CISA)では、2025年2月中旬に約130のポジションが廃止された。これは米国国土安全保障省(DHS)全体で約400のポジションを廃止する取り組みの一環だ。
DHSの関係者によると、省内の削減は任務に不可欠ではない試用期間中の従業員に関連しており、約5000万ドルの節約になるという。
アイダホ国立研究所で、国家および国土安全保障の領域を担当するエマ・スチュワート氏(チーフ・パワーグリッド・サイエンティスト)はジョイス氏の意見に同意し、同盟国や他の組織に対して、脆弱(ぜいじゃく)性を修正する方法や悪質なサイバー活動への対処法について警告する上でCISAは重要な役割を担っていると指摘した。
「これは極めて重要な機能であり、CISAはここ数年で大きく前進している」(スチュワート氏)
トランプ政権は2025年1月にサイバー安全審査会(CSRB)を解体した(注3)。CSRBは、中国から支援を受けている脅威グループ「Salt Typhoon」に関連するハッキングを調査していた。同グループは、米国の主要な通信企業に対するハッキングに関与しているという。
(注1)Testimony by Rob Joyce(Opening Statement Rob Joyce Final)
(注2)MEDIA ADVISORY: Select Committee on the Chinese Communist Party Holds Hearing ― " End the Typhoons: How to Deter Beijing’s Cyber Actions and Enhance America’s Lackluster Cyber Defenses”(The Select Committee on the CCP)
(注3)DHS disbands existing advisory board memberships, raising questions about CSRB(Cybersecurity Dive)
© Industry Dive. All rights reserved.